上野の魅力は、上野公園にある東京藝術大学、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、東京文化会館にみられる文化性と、公園を降りた上野広小路裏辺りで感じる猥雑性とのアンバランスにあります。人も片面だけでは面白くないように、町も二面性をもつと活き活きとしてきます。そんな上野を、ご紹介します。
◆『さくらい』 文京区湯島 3-40-7 03-3836-9357
◆大山 東京都台東区上野6132 03-3831-9007
◆黒船亭 台東区上野2-13-13 03-3837-1617
上野不忍池のほとり、中央通りに面したビルの4階にある。こういうお店を洋食屋というんだ、という店。しかし、べースはフランス風である。あくまでもフランス風であり、フランス料理ではない。しかも上野。ナイフ・フォークが面倒であれば、箸がある。気取らないのが上野であり、黒船亭である。この間食べた、子羊のカツレツなんぞ相当にすぐれものだった。しかも、少々料理の出が遅かったためか、スープをサービスしてくれた。こういう、マニュアルにない行き届いた気配りもうれしい。当然価格は上野仕様。
◆上野精養軒 東京都台東区上野公園4番58号 03-3821-2181
FAX : 03-3822-1330
東京文化会館や国立博物館などの上野の森のレストランは、殆どが上野精養軒の経営。その本丸が不忍の池畔の高台に位置する上野精養軒本店。明治5年創業のフランス料理の老舗。本店には、グリルフクシマとカフェランドーレの二つのレストランがあるが、たまにはフクシマで落ち着いて食事をするのもいい。少々値が張るが。そこは老舗の歴史が漂い、しかし上野という土地柄で、私のようながさつな者でも居心地はいい。ランドーレには、昼時を避けてお茶を飲みにいく。サンドイッチあたりで軽く食事を済ますのもいい。ホテルのない上野地区でホテルのラウンジの代わりに利用できる。
◆武蔵野 台東区上野2-8 03-3831-1672
上野のとんかついえば、双葉、蓬莱屋、本家ぽん多であるが、この武蔵野も甲乙つけがたい。エビのでしゃばり論を主張し、思想として普段エビに対する抵抗のある私でも、武蔵野の特大エビフライには脱帽する。特大ではあるが、殻まで食べる。食べるものかどうか知らないが、エビの頭がビールよく合う。食べれば主も喜んでくれるのだから、食べるものなんだろう。もちろんロースもヒレも美味い。ここで昼を食べれば、夜は冷奴にお新香、そしてお茶漬けで良い。
◆フォンターナ 台東区上野2-11-18 03-3836-5713
ホテルパークサイドの1階にあるイタリアンレストラン。上野駅から少々歩くためか、静かな店である。これは私の偏見かもしれないが、イタリア料理の味の差は、ある程度の水準以上になるとあまりないと思っている。後は、素材と味付けの差、つまり好みの差かもしれない。この店は、そういう面では、水準に達している。それ以上に私が気に入っているのは、静かなことと、曲がりなりにもホテルの店舗ということで、マナーが気持ちいい。結構、魚貝類は豊富で鮮度がいい。上野では一押しかもしれないが、裏通りは上野で最も怪しい地区。あまり男一人で行くところではない。
◆伊豆栄 東京都台東区上野2-12-22 TEL:03-3831-0954
ご存知、創業260年の上野の老舗であります。鰻専門店でありますが、鰻以外も結構いけます。嫌味ではなく、私なんか昼に天ぷら定食を食べることもありますから。でも、やはり鰻。南千住の尾花と異なり、伊豆栄の鰻はしっかりしている。食べ応えがあるというか、食感がしっかりしているというか。口に入れてとろける食感なら尾花、しっかりとした食感なら伊豆栄といっておきましょう。ちなみに日本橋本町の大江戸とよく似ていると、私はいつも思います。
◆上野グリーンサロン 台東区上野公園7 03-3824-9931
上野公園を散歩するときに時折立ち寄るレストラン、と言うより食堂。ここのカレーがイケル。竜田揚げカレー(880円)、厚切りロースカレー(950)、大海老カレー(950円)、カレーうどん(650円)。他にもメニューがありますが、私はカレー以外食べない。場所はJR上野駅公園口を出てすぐ右手。一度お試しあれ。
◆上野藪そば 台東区上野6-9-16、03-3831-4728
神田藪蕎麦から明治23年に初めて暖簾分けされたお店が「上野藪蕎麦」です。「更科」、「砂場」とともに江戸の伝統の味を引き継ぐ三大屋号のひとつ。その藪蕎麦御三家といえば神田、並木、池之端とくるが、ここ上野藪蕎麦も御三家に負けない。なにしろ上野にあるのがいい(これは理由にならない理由)。私は新潟と大阪が合い混ざった味覚の持ち主。蕎麦を付けて食べることができない。たっぷりと着けなければならない。藪であろうと、更科であろうと、砂場であろうと。そこで「鴨せいろ」が大の好物。蕎麦をどんぶりに投げ込むような気持ちでタレを着け口に運ぶ。事情が許せば、その前に板ワサか卵焼きに熱燗。少々値が張るが、休日に上野で寄席を楽しんだ後には此処に立ち寄らなくては。
◆双葉 台東区上野2-8-11 03-3831-6483
ロースカツ専門。良質で大型のロースを低温でじっくり揚げた逸品を出す。上野はトンカツ屋のレベルがすこぶる高い。しかし、ここは頭一つ抜きんでる。「ぽん太」「蓬莱屋」とともにとんかつ御三家といわれている。とんかつ定食が2,940円。そうそう行ける店ではないが、値段だけのことはある。確か平日の昼しか営業していないが、まあ、夜のこの辺りは余りにも猥雑で立ち寄らない方がよろしいが。
◆ザ・ガーデン自由が丘 台東区上野7-1-1 5826-5845
自由が丘本店の高級食品スーパーザ・ガーデンがJR上野駅のアトレ上野にある。なにをお勧めするかといえば、ここの弁当群がすばらしい。この間、富山の「ぶりのすし」を求めて、土曜日の午後、事務所で一人食べた。先日は奈良の「柿の葉寿司」。その前は、帝国ホテルのハンバーグ弁当。事務所で一人食べる弁当も、悲しくも寂しくもない。一人が故に味わえる弁当は、近場では、此処の弁当と上野松坂屋のデパチカ弁当。ご要望の方、事務所で買い求めておきますので、ご一緒にお昼でもどうですか。
◆板門店 台東区東上野2-15-5 03-3831-2867
上野キムチ横丁にある有名焼肉店。創業以来変わらない赤い味噌だれで焼肉を食べる。キムチ横丁の老舗である。キムチ横丁では、焼肉よりチヂミ、ケジャン、チャプチェなどの家庭料理が美味い。焼肉の美味しいお店はいくらでもあるが、本格的家庭料理の美味しい店は少ない。ここキムチ横丁では外れがない。少々値が張るが、値段だけのことはある。小生なんぞ、板門店のケジャン(蟹のキムチ)とマッコリで十分。明日のことなど消し飛んでしまいます。
◆上野大勝軒 台東区上野7-6-7 03-3842-7070
あの東池袋の大勝軒から暖簾分けを受け、今年(16年)7月に開店した。上野駅の入谷口から歩いて2分か。さすが本店山岸店主から免許皆伝の味と量。つけ麺のもりそば680円。大盛なんぞ頼もうものならその量に腰を抜かす。普通盛でも、上品なラーメン店の2倍の量。場所柄からいっても気取ることはない。ただひたすら食べることに専念すればよい。期待を裏切らない。
◆デリー 文京区湯島3-42-2、03-3831-7311
昭和31年に、日本で最初にインドカレーを創ったお店。インドカレーとは、早い話がさらさらスープのカレーである。私は、メリケン粉とカレー粉にジャガイモを溶けるまで煮込んだお袋の味、新潟カレーで育った。したがって、カレーのルーといえばトロリまたはドロリ、ボトリとしていなければならない。インドカレーは今一だが、ここのカレーは別格。ともかく不思議な旨みがある。今日は、眼科帰りに行列が途絶えていたので久しぶりに立ち寄った。病院帰りの気の滅入るとき、ここのカレーはてきめんに元気が出る。
◆公望荘 台東区上野桜木1-16-68 3822-2288
JR鶯谷南口前にあります。駅前そばなら、立ち喰いかと、気楽に考えてはいけません。注文してから、そば打ちが始まります。したがって、立ち喰いよりはるかに遅い。また、はるかに美味い。そして、はるかに高い。せいろが700円(値上げがなければ)。店構えは、江戸時代から続くような凄みのある建物です。
◆キムチ横丁
昭和通りをはさんでアメ横と反対側にある、韓国料理とその素材を売る店が集まる商店街です。この通りにある焼肉店は、どこを選んでも納得の味で、ハズレはなしです。ここで売ってるキムチは矢張り味が違います。また、店によっても味が異なります。なるほど、キムチは家の数ほど味があるのか、と納得です。どういうわけか、私がキムチを買いに行くとおかみさんが大盛りでサービスしてくれます。
まあ、元気がでないとき、スタミナが切れかけたとき、キムチと焼肉で、ハッスル、ハッスル。
◆上野公園
上野公園をゆっくり散策されたことがありますか。ひょっとして動物園、文化会館あたりを花見の時期に散歩されただけではありませんか。国立博物館の周りを散策したことがありますか。一度、東京藝術大学をを通り谷中のほうに抜けてみてください。そこは静謐とした一角となっています。きっとここが上野なのかと再認識されることに間違いありません。