今年(平成27年分)のスパイ映画3作

 今年秋口から年末にかけてスパイ映画3作が公開。私の好みとすれば、アンクルがもっと星の数が多い。

◆キングスマン ★★★★

 いかにも英国風ユーモアの極致たる映画。全編ユーモアと斬新なアクション。洒落た会話、ジョーク、皮肉。敵は007とばかりのバカバカしい殺人の連続。これをスタイリッシュに描く。国際問題をも恐れぬオチ。さすが、かては7つの海を征服した英国の気概。おそらく、京商会の3作の中で最も人が死ぬ。スカッとする一作。

◆コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)★★★★☆

 1960年代に人気を博したテレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を映画化。映画の舞台も、ソ連と米国の冷戦時代たる1960年代。これがまた、音楽、ファッションともオシャレ。そうか私の10代は、こんなにシャレてたのか。

◆007 スペクター ★★★★

 この作品については多くを語らない。キングスマンもアンクルも、間違いなく007シリーズを意識している。比較しなくてよい。趣味に合うかどうか。観て面白いかどうか。だから観るしかないのだが、007は観なければならない、という強迫観念が私の世代には埋め込まれている。ショーン・コネリーのようなスピードもキレもないアクションですらのめり込んだのだから。

今年(2014年)の映画

以下、今年観た映画のうち印象に残った作品の感想です。

 

◆トカレフ ★★☆

 私は、ニコラス・ケイジが好きなのである。あの、いささか気の抜けた、緊張感のない顔つきがたまらなく好みなのである。ということで、最近の主演映画がこれ。ここ数年、その年最低の映画男優に送られるゴールデンラズベリー賞主演男優賞にノミネートされているニコラス。今年も、これでまたノミネートされるに違いない。それほど酷い作品なのだが、ニコラスが演じると、それはそれで私にとってはありなのだ。ニコラスの魅力タップリの駄作。でも、観て損はない。ニコラス・フリークならば。

 

◆ノア約束の舟 ★★★

 旧約聖書の物語は難しい。ラッセル・クロウが主演したので観たのだが、やはり中途半端。なにがいいたいんだいんだ、と、思わず叫びたくなる。クロウの魅力に負ぶさればいいのか。聖書を題材にすれば、冒険はできんということは分かっていたろうに。大昔、十戒を観たときにも感じた。旧約聖書は、映画にならない。文字を通して考え、感じなければ聖書の世界に触れることはできない。でも、クロウの魅力はたっぷりと味わえる。不器用で、頑固で、優しそうな眼差し。なんといってもイケメンでないのがいい。

 

◆ラスト・ミッション ★★★★

 主演は、ウォーターワールドでこけたケビン・コスナー。パーフェクト・ワールドまでは順調だったが、その後だんだんズレてくる。ロビン・フッドとワイアット・アープではゴールデンラズベリー賞最低主演男優賞、ポストマンでは最低監督賞および最低主演男優賞をそれぞれ受賞したという。あの、真面目で端正な顔つきが、バイオレンスやアクションとちょっと違和感を醸し出す。本作もそうであるが、その違和感がいい。実に多くの人間を殺すのであるが、ストーリーとセリフにとびっきりのユーモアがある。このユーモアは、主人公が暗殺者でなければ、主演がコスナーでなければなしえない。これはお勧めの作品。

 

◆マスター・アンド・コマンダー ★★★★☆

 10年前の映画だが、ビデオで観て、さずがラッセル・クロウと再度感嘆。このころクロウは、グラディエイター、ビューティフル・マインドなど、力のこもった作品に縦続きに主演し、乗りにに乗った時期である。 私が、彼に注目したのがLAコンフィデンシャル。その後、彼の出演作はほとんど観ている。ニコラス・ケイジと異なり、失敗作はない。昔、頑固なアメリカ人を演じればジョン・ウェィン。いまはラッセル・クロウ。

 

◆パワー・ゲーム ★★★☆

 アメリカン・ドリームとアメリカン・ジャスティスが入り交じったハリウッド定番作品。こうなるだろうと予測を裏切らない、実にデジャブ感溢れる秀作。ハリソンフォードの不潔感溢れる悪役がいい。緊張感あるテンポで話が進む。幾人かは殺されると思うのだが、最近のハリウッド映画のように、殺された人数が数え切れないとう映画ではない。想像どおりのストーリーであっても、手に汗握り観ることができる。映画鑑賞のコツは、まったく突っ込まないか、お思いっきり突っ込むかだ。中途半端はいけない。本作品は、突っ込んで観てはいけない。

 

◆出所祝い(やくざ映画試論) ★★★☆ 26.01.03

 日本侠客伝、昭和残侠伝、網走番外地などの東映の伝統的やくざ映画。なぜ、いま受けないのか疑問であった。時代を超えた文化が描かれたいるのではないか。いつの時代にも求められるのではないか、と考えていたからである。つい先日、仲代達也主演の東宝やくざ映画『出所祝い』(昭和46年)を観て、その理由がなんとなく分かった。名優仲代達也を軸に、夏八木勲、栗原小巻、丹波哲郎、安藤昇、、田中邦衛、江波杏子が出演し、申し分ないキャストである。少々褒めすぎかもしれないが、五社英雄脚本のストーリーも十分やくざ映画たるに相応しい。五社らしく映像も美しい。演技も、単なる顔見世興行ではなく、各俳優の持ち味を余すところなく発揮させている。が、しかし、である。どうも、何か物足りない。仲代達也の演技が上手すぎるのである。やくざ映画のなかのやくざは、不器用な人間でなければならない。実際は、器用でなければ生活はできないのであろうが、不器用であってこそ花田秀次郎であり、橘真一であり、菊池浅次郎である。つまり、鶴田浩二、高倉健、菅原文太でなければ演じることのできない領域が伝統的やくざ映画の世界なのである。それに比べて、仲代は上手すぎる。仲代が演じる苦悩はやくざとしての苦悩ではない。人間としての苦悩に演技を昇華してしまう。仲代には、高倉や鶴田や菅原のような不器用な演技ができないのである。だから、やくざ映画として物足りない。そう、今の俳優には、その当時の鶴田、高倉、菅原のような不器用な人間の演技ができないのである。伝統的なやくざ社会のやくざを演じることができる俳優がその後出現しないのは、人を殺めなければならないような、圧倒的な不器用さを表現できる俳優がいないのである。仲代のやくざを観てそう感じた。ただ、映画としての『出所祝い』は失敗作ではない。いい娯楽映画である。五社は、仲代いや俳優座とコンビを組んで多くの映画を制作している。でも、失敗作はない。長谷部日出夫が、大衆に迎合し過ぎると批判したが、私は五社作品が好きである。最後に、鶴田浩二、高倉健、菅原文太は、その後、やや器用な俳優になった。

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