『完全に自己を告白することは何人にも出来ることではない。同時に又自己を告白せずには如何なる表現も出来るものではない。』。『人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。重大に扱わなければ危険である。』。『なぜ軍人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう?』。いずれも、芥川龍之介の『侏儒の言葉』に書かれている言葉である。こういう風に斜めに人生を観て、人生を過ごすことができれば、余裕のある生き方ができるのだが、その芥川も昭和2年7月に自殺した。人生を、正面から真っ直ぐに生きていくのも難しいが、斜に生きていくのも難しい。