繰り返し読んだ本って何だろう、と思って自宅の書棚を眺めました。手に取った回数は聖書が一番ですが、その一割も読んでいません。吉本隆明『共同幻想論』も手に取った回数は多いのですが、読み通したかどうかというと自信がありません。そんなことを思いながら、ふと『長いお別れ』(レイモンド・チャンドラー:清水俊二訳)が目に留まりました。そうだ、これだ。この『長いお別れ』は、村上春樹の訳を含めると、4度は読んでいることは間違いないのです。こうして目につくと手に取り、読み耽ってしまいます。冒頭の数ページで出てくる白服に対するマーロウの皮肉、タクシー運転手のマーロウに対する共感あるセリフ、今日もまた、読み始めました。